2007年12月26日

バークシャー、プリツカー家からマーモン買収へ

バークシャー、プリツカー家からマーモン買収へ

ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米投資会社バークシャー・ハザウェイの会長兼最高経営責任者(CEO)である著名投資家ウォーレン・バフェット氏と、米複合企業マーモン・ホールディングスのトム・プリツカー会長は25日、バークシャーがマーモンの過半数株式を、シカゴのプリツカー一族から45億ドル超で取得すると発表した。米国で最も著名な投資家であるバフェット氏と、米国で最も富裕な一族の1つであるプリツカー家の組み合わせとなる。

合意によると、バークシャーはマーモン株60%を45億ドルで取得し、その後残りの40%を、マーモンの業績に応じた金額で5−6年かけて段階的に取得する。マーモンは125を超える企業を傘下に抱えて広範な事業を手掛けており、年間売上高は約70億ドル。

バークシャーにとってこの買収は、保険業以外では過去最大規模。

プリツカー家にとっても、このところの一連の資産売却では最大級となる。同家は資産の支配権をめぐる一族の内紛の解決に向け、保有資産のリストラを進めている。一族の合意では、2011年までに一族の成人メンバー約11人に支配権を分割することになっている。

マーモンの会長で事実上、一族の中核事業のトップであるトム・プリツカー氏はインタビューで「バフェット氏はマーモンのパートナーとして理想的。同氏は不干渉主義で、優秀なマネジャーに事業の運営を任せているとの評判だからだ」と語った。

また「バフェット氏の哲学はわれわれと共通している。一族が今後6年間、マーモンでバフェット氏のパートナーになるため、このことは特に重要だ。これは事業売却ではなく融合だ」とした。

交渉を迅速にまとめたのはバフェット氏の長年の手法。同氏はインタビューで「身売りの意向を聞いてから2週間たっていない」と述べた。プリツカー家がゴールドマン・サックスのある社員をサンフランシスコの空港でバフェット氏に会わせる段取りをつけ、マーモンについてのさまざまな情報をバフェット氏に伝えたのだという。バフェット氏はネブラスカ州オマハの自宅に戻る飛行機の中で、受け取った資料に目を通し、直ちにマーモンの幹部に面会を求めた。同社幹部は2−3日後、オマハに飛んだ。

バフェット氏は「彼らを気に入った。非常に満足している」と話し、「マーモンの多岐にわたる事業が多くの買い手に渡るのは好ましくない」との見方を示した。「われわれはコングロマリット(複合企業)と呼ばれてもよい。これからコングロマリット以上の存在になる」と語った。

またバフェット氏は、マーモンが手掛けている基礎的な事業と、それらの事業分野でのマーモンの地位が、同氏の意向に沿っているとした。同氏は、マーモンのフランク・プタク最高経営責任者(CEO)には留任してもらう予定で、数件の「追加の買収」を望んでいる。

プリツカー家はマーモンを50年以上にわたり保有している。同社はシカゴを本拠とし、配管関連製品や電線などさまざまな工業製品を手掛けている。最大の部門は鉄道タンク車を製造するユニオン・トラック・カーで、同社は100年以上前、石油王ジョン・ロックフェラー氏傘下の企業グループの一員だった。1911年、裁判所が同氏率いるスタンダード・オイルの解体を命じたのに伴い、グループから分かれた。

プリツカー家は、マーモン売却を含め、過去6年間に資産売却で100億ドル以上を調達した。それでもまだ大きな資産を支配しており、ホテルチェーンのグローバル・ハイアットの過半数株、消費者信用情報調査会社のトランスユニオンを保有しているほか、米・ノルウェー系クルーズ大手ロイヤル・カリビアン・クルージズ(NYSE:RCL)の大株主でもある。一族が保有する資産の総額は200億ドルを超えるとみられる。

同家は今年、ハイアットの少数株式を10億ドルで、ゴールドマン・サックス・グループ(NYSE:GS)と、ロブソン・ウォルトン氏率いる投資会社に売却した。同氏は米小売りチェーン大手ウォルマート・ストアーズ(NYSE:WMT)創業者の長男でウォルマート会長。

マーモンとハイアットの合意は、プリツカー家の解体完了後、一族が残りの資産をどのように運営していくのかについて道筋を示している。資産売却の結果、一族のうち独立性を求めるメンバーは現金を受け取り、トム・プリツカー氏とおそらく数人のメンバーは、注目度の高い外部のパートナーと共に中核事業の経営を続ける。

プリツカー家はここ数年、マーモンの業績改善に注力していた。2002年には、米工業部品・産業システム大手イリノイ・ツール・ワークス(NYSE:ITW)のジョン・ニコルズ元CEOをマーモンのCEOとして招請した。昨年、後任のCEOに就任したプタク氏もイリノイ・ツール出身。

マーモンは非公開企業だが財務資料を一部公表している。2006年の売上高は70億ドル(04年は50億ドル)、営業利益は7億9400万ドル(同3億9200万ドル)だった。

バークシャーとの合意によれば、マーモンの資産価値は75億ドル。だがプリツカー家は、業績を向上させれば、すべての売却が完了する時点で、より高い金額を引き出すことができると期待している。

バフェット氏は、1955年にトム・プリツカー氏の父ジェイ氏に初めて会い、財務や納税についての知識を吸収したという。その後、一族と親交があるが、ビジネスの取引をしたことはない。

一族は、家長だったジェイ氏の死によって内紛が激化した。この状態はしばらく内密にしていたが、一族の合意に加わらなかった2人が数年前に訴訟を起こし、05年に和解が成立した。

マーモン売却での合意条件である、バークシャーからの長期にわたる支払いについて、一族の財産を直接管理したいと考えるメンバーが満足しているかどうかははっきりしない。

http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djBXZ2523.html
posted by ヒート at 11:42 | TrackBack(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。