2009年09月15日

日本人が持ち歩いた「米国債13兆円」の怪

財務省の「裏ガネ」説も出たが
日本人が持ち歩いた「米国債13兆円」の怪

ロスチャイルドやバチカンとの関連まで囁かれる謎だらけの国際的犯罪を追う


■「邦人」とは果たして日本人か

それはスパイ映画を見るような謎に満ちた事件だった。事件が起きたのは6月3日、初めて報道されたのは6月14日。

「イタリアの財務省(GDF)は14日までに、1千340億ドル(約13兆1千900万円)相当の米国債を不正に持ち出そうとしていた50代とみられる日本人の男2人をイタリアとスイスの国境近くで逮捕したと発表した。2人はイタリアからスイスに列車で入る際、スイス南部キアッソの税関で『課税品なし』と申告したが、税務職員が調べたところ、2重底のスーツケースから1千340億ドル相当の米国債が発見されたという。

事件に絡んで、イタリア北部コモの財務警察も声明を発表し、額面で5億ドルの米国債249枚などが押収されたとしている」(産経ニュース)

日本円で13兆円、ニュージーランドのGDPに匹敵する米国債、かつ額面が5億ドルの国債とはいったい何なのか。キツネに包まれたような事件である。しかも報道はごく限られたメディアが申し訳程度にふれただけ。6月19日にイタリア政府が押収した米国債は偽物と発表したこともあるが、映像では、テレビ朝日が6月29日夕のニュース番組(スーパーJチャンネル)で放映したのみで、現在までほとんど無視された状態だ。

しかし、米国債が偽物であったとしても13兆円もの債券を持ち歩いていた人物がいたことは確かであり、報道や事件後の対応に腑の落ちない部分が数多く残されている。

最も疑問視されるのは、「邦人」2人が拘束されたのは6月3日で、同日のうちに釈放されている事実だ。偽物かどうかの確認を含め、これだけの巨額な米国債が押収された以上、日米の政府による調査は不可欠なはずだ。本来なら被疑者の拘束は長期間に及んでもおかしくない。

しかも、事件当初はまったく報道されず、6月11日にインターネットのニュースなどで初めて事件が明るみに出た。イタリア当局による発表も14日までずれ込んでいる。事件の発生から報道までのタイムラグがあまりに長く、即日釈放された犯人のその後の行方もわかっていない。

■ネットでは陰謀説が乱れ飛ぶ

007ばりの国際的犯罪に、詮索好きのインターネットのブロガーが色めき立った。ネット上で飛び交った情報や推測を集約しよう。

・米国に対する資金援助として日本が流した財務省の裏金。
・米国の破綻を見越して、日本がこっそり米国債をスイスで売ろうとしていた。
・数日後に開かれる予定のG8で受け渡しが行われる予定であった資金。
・米国の金融資本が、日本の次期総選挙における自民党の活動資金として渡そうとしていた。
・構造改革や郵政民営化などで米国に利する行動をとった政治家への報酬だった。

はてはイルミナティやロスチャイルドの仕業、天皇の隠し財産、ローマ法王への貢物、バチカンの買収資金、北朝鮮の隠し資産まで、まことしやかな陰謀説まで飛び出した。

そして、この陰謀説の筆頭といってもいいのが、「邦人2人」といっても本当に日本人だったかどうかもわからないのに、その1人は元財務省事務次官で、日銀副総裁も務めた武藤敏郎氏の義弟Y氏であると名指ししたブログの存在だ。

武藤氏の関係者が語る。

「ブログで武藤さんらの名前が出ているのは承知しているが、まったくの出鱈目。そもそも武藤さんにY氏という義弟などいません」


事件があった6月3日の翌週の10日に、与謝野財務・金融、財政経済担当相が唐突に「米国債への信頼は揺るがない」と発言したことも謎に輪をかけた。この発言は、金融危機対応で巨額な財政出動を続ける米国で、国債の増発懸念から長期金利が急上昇したことや、中国をはじめとした新興国の一部がドルに代わる基軸通貨構想を提唱するなど、米国債売りが懸念される状況にあったことが背景と説明されている。

しかし、真意はスイスでの邦人拘束が米国債売りであったことを包み隠すための口先介入であったのではないか、という見方である。

■マフィア関与やM資金の噂も

イタリア警察が拘束した「邦人」2人が、パスポートにより日本の財務省の関係者であるとの情報が海外のメディアを駆け巡った(真偽は定かではない)ことも、信憑性を帯びて語られる背景になっている。

また、押収された米国債13兆円が、期せずして米国が金融危機対応で投じている公的資金(TARP)の残りの利用可能額と同額だったのも、財務省の関与が疑われるもとになった。つまり、米国は日本の財務省から13兆円の米国債を借り受け、残りのTARPを執行するという見立てだ。

そしてもう一つは、世界一の外貨準備高を誇る中国が、米国に警告を発するために仕組んだ事件という見方だ。彼らは、米国に「米国債は売り払うことは出来ないかもしれないが、こういう使い方も出来る」とのサインを送ったという見方だ。

しかし、いずれの推測も、もととなる米国債は現在、現物である「証書」では発行されておらず、電子化された「帳簿記載方式」で管理されていることから、信憑性は低い。

確かに、ネット上に公開されている押収された米国債は精巧な作りであり、一部には古いケネディ債という米国が金本位制時代のものも含まれているといわれている。

また、国家が米国政府に要求すれば、例外的に米国債を券面で発行するケースもあるといわれるが、いずれにしても13兆円もの米国債の現物が日本にあるとは思われない。

やはり、この13兆円の米国債事件は「M資金」の類の詐欺事件であった可能性が極めて高い。その舞台装置として利用されたのが、イタリアのG8であり、スイスの秘密保持であり、「邦人」といわれた犯人の素性であろう。

実際、イタリアでは今回の一件に先立って、同様の事件が2件も発覚している。さる4月、日本人から依頼を受けたというイタリア人の男が、額面総額約2兆円の偽日本国債をスイスに持ち込もうとした事件だ。

5月には、シチリア島を拠点とするマフィアが総額10億ドルの偽造ベネズエラ国債を担保に、英国や米国の大手銀行から巨額の融資を受けようとして、約20人が逮捕されている。

この一連の「国債事件」からすると、今回の事件も、イタリアマフィアとの関わりを持つ日本の犯罪組織が関わったか、関わったように見せかけた巨額詐欺事件である可能性が非常に高い。そこに、国債の知識のある大蔵(財務)官僚OBが関与している可能性も出てきた。

米国債の信用に揺らぎが生じていることは間違いのない事実である。犯人が巧みにその時代的背景を読んでいたことは驚愕に値する。

(2009年9月号掲載)

http://www.e-themis.net/feature/read.php


posted by ヒート at 12:28 | TrackBack(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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